写真講座でよく質問を受けるのが、フィルター性能と価格に関してです。前回までで概ねフルターに関しての種類などを確認して頂けたと思います。そこで購入しようと家電量販店に出向くと新たな問題に直面します。数の多さもさることながら、同じ効果のフィルターなのに価格がバラバラで幅があるので悩んでしまいます。
今回はなぜ価格がこうも違うのか、そしてどのような性能があるのかを知って頂き、自分のフィルターを見つける一助になればと思います。
価格差は性能差である!
一言で言うなら、良いものはやはりそれなりに値段がはる!という事になります。
良いとは?何なのか?ですが、取り扱いのしやすさ、材質、そして一番大切なのが、写真への影響です。
想像してみて下さい。メガネを掛けるとしましょう。1枚、2枚、3枚と重ねていったらどうでしょう?メガネを重ねるごとに、見ている景色はガラスが厚くなる分、ぼやけてきますよね。歪みも一枚より複数重ねた方が大きくなります。重ねれば重ねるだけ光は屈折していくのですから。
単焦点レンズの解像度は素晴らしい!と一度は聞いたセリフかも知れません。ズームレンズは便利ですが、機構が複雑で、単焦点レンズと比べ多くのレンズが内部で組み合わされています。枚数が多くなるほど暗くなり画質に影響を与えます。なので明るく高画質のズームレンズは値段が高いのです。
フィルターを付けるという行為は、まさにレンズを1枚追加する行為であり、画質という点では不利な方向に働きます。写真を美しくしたい為にフィルターを使用するのに、かえって悪くするなんて、本末転倒ですよね?
そこで各社メーカーはしのぎを削りこのパラドックスに挑戦しているのです。そして求める性能に応じて、価格に差が出ているのです。
どんな性能があるのか?
*Corning Gorilla Glass Ⅲ(強化ガラス) H&YのK-Series、GNDフィルターはゴリラガラス使用で落としても割れにくく、強力なコーティングで傷も付きにくい -20°を下回る極寒のアイスランド、灼熱の中東でも使用されており、世界中のフォトグラファーからの信頼を集めています。H&Yのホームページに動画がアップされていますが、単車が踏みつけても割れない映像に衝撃を受けると思います。
*SCHOTT B270 ガラス 紫外線から近赤外線まで、さまざまな波長にわたって一貫した光透過率を提供するように設計されています。一貫した透過率は解像度の高い写真を可能にします。
*偏光度99.9%の日本製CPLフィルム 99.9%とはほぼ偏っていないということ。光が偏っていないということは,光の伝搬方向と直角な面内での電気ベクトルの振動や回転に特別な傾向が見られないということです。つまり写真にとってそのまま光が入ってくるので画像が綺麗という事です。
*均一な減光効果 光のムラのないことは写真には重要な事です。
*撥水・防汚・防傷性に優れたNano Coating 10億分の1を表す小さな数字である「ナノ」ですが、ナノコーティングとはコーティング技術の一種です。例えば光触媒機能のある酸化チタンや疎水性を持つフッ素樹脂などがあり、ナノレベルの調整によりさまざまな特性を持つコーティングが開発されています。
*透明度の高い光学ガラス 光学ガラスにおいては、透明性と屈折率が重要な指標となっています。写真のフィルターに最適な比率で製造されています。
*帯電防止・防汚・撥水・防傷・低反射コート(両面コート) 前面のみでなく、後面にも傷などが付かない様にすることも、画質には重要な事になります。
*色転びがなく、均等なNDコーティング 光を減光するNDフィルターに関しても、均一に減光される事は、写真の品質に直結します。
*HD研磨技術による、高い平面度 平滑度を上げていくと光の乱反射を抑えられるようになり、表面を鏡のように仕上げることができます。乱反射を抑えることは、写真には重要な要素です。
*マグネットにより、素早い着脱と位置調整 日の入り、日の出などは秒単位で光の表情が変化します。その瞬間を逃さない為のマグネット機構は撮影者の強い味方になります。特に薄暗い日の入り後、日の出前にはマグネット機構は重宝します。
*広角レンズ使用時のケラレ防止 カメラレンズの前面につける事により、フィルターの縁が映像に映り込んでしまうケラレ現象がない様な設計は重要な要素になります。
*他メーカーとの互換性 各社様々な商品を出していますが、互換性があれば消費者の利便性に繋がります。
上記の性能は、私がアンバサダーを務めているH&Y filterの性能の一部ですが、各メーカー同じような性能の追求をしています。
フィルターの性能だけでなく、それをいかに簡単確実に装着できるのか?持ち運びの利便性はどうなのか?と更に良い商品が登場しています。皆さんもよくご存知なのが、マグネット式の登場です。そして専用ポーチやフィルターを付けたままで保護できる様開発されたフィルターフードなどあります。レンズフィルター単体のみでなく、その周辺のグッズ選びもまた写真ライフを楽しいものにしてくれます。
今回は値段の違いを性能の特徴とともに見てきました。決して安い買い物では無いフィルターですが、値段に応じて性能も良いという事になります。
皆さんの作品作りの強い味方になってくれるフィルター選びを是非楽しんで下さい。では次のLessonで。
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